遺伝子情報研究グループ


本研究グループはヒトの各種疾患、特に循環器系疾患に関与する遺伝子の分子生物学 的解明を遺伝子変異実験動物等を利用して行っている。

1)血管平滑筋細胞における組織特異的遺伝子発現調節機構

動脈硬化部位で増殖する血管平滑筋細胞の細胞学的及び分子生物学的基礎を明らかに する目的で血管平滑筋特異的遺伝子、特にヒト血管平滑筋アクチン遺伝子の発現機構 の解析を行い、マウス個体レベルでの発現に必要なDNA領域及びそこに結合する核内 因子の同定を進めている。また、生体内の分化型を保った培養血管平滑筋細胞の開発 検討を行っている。

2)血管平滑筋特異的遺伝子発現ベクターの開発

動脈硬化症などの循環器病の原因に一つである血管平滑筋の細胞型変化を阻止するた めに、血管平滑筋特異的に強く遺伝子発現するベクターをアクチン遺伝子の転写系を 用いて開発している。このベクター等を利用して、細胞増殖抑制や分化誘導遺伝子を 循環器病変部に導入発現させる遺伝子治療に向けての研究を進めている。

3)心不全発症機構の解析

高食塩食を投与することで拡張障害型心不全を発症するモデルラットを開発し、その 発症メカニズムを分子生物学的手法で解析している。特に心臓の間質の繊維化や心筋 肥大に関与する因子としてエンドセリン系とレニン-アンギオテンシン系に着目して いる。