ゲノム情報解析分野 (Department of Genome Informatics)

研究概要

当分野では、大量の遺伝子・ゲノム情報に対してコンピュータを駆使した大規模かつ網羅的な解析を行い、生命現象や生物の進化の解明を目指す研究を行っています。このために、コンピュータやインターネットを高度に利用したバイオインフォマティクス・分子生物学用のソフトウェアやアルゴリズムを開発すると同時に、それらを駆使した遺伝子・ゲノム情報解析を行っています。また、学内共同利用のゲノム情報解析用コンピュータシステムを運用し、学内の遺伝子・ゲノム関係研究者に計算機資源を提供するとともに、ゲノム情報解析やコンピュータシステムの利用方法についての教育研修を行っています。

(1)大規模ゲノム情報解析

現在までに数百種の生物のゲノム全配列が決定されていますが、これらのゲノム配列やそれに付随する情報について、バイオインフォマティクスや分子進化学など様々な手法を駆使した網羅的な解析を行っています。同時に、大規模ゲノム情報解析に必要なソフトウェアや解析アルゴリズムの研究開発を行っています。これまでに、細菌からヒトに至る計266種のゲノム配列を解析し、その結果、ほとんどすべての生物にもっとも長く連続して保存された配列は、リボソーム小サブユニットRNA中のAAGTCGTAACAAGGTという長さ15塩基の配列であることを明らかにするなど、様々な解析を行ってきました。

(2)実験分子生物学者向けの使いやすいソフトウェアの開発

分子生物学者がコンピュータの深い知識なく容易に遺伝子・ゲノム情報解析を行えるように、GUIベースのソフトウェアを開発しています。これまでに、インターネット経由で利用できる遺伝子・ゲノム情報解析統合ソフトウェアGeneWebIIおよびGeneWebIII、マルチプルアライメントエディタGeneAlignを開発してきました。 GeneWebIIIは、ウェブ上で配列の含量計算や翻訳などの基本的な遺伝情報解析から分子系統樹作成までを容易に行うことができます。 GeneAlignは配列解析の基礎のひとつであるマルチプルアライメントを行うもので、 細部の調節をマウスを使って容易に行うことができます。 これらは、当センターのホームページにて公開しています。

(3)ゲノムプロジェクトへの参画

微生物病研究所や学内外の各所で推進されているゲノムシーケンシングプロジェクトに参画し、ゲノムアセンブル、アノテーション、比較ゲノム解析、データベース作成などの情報解析を担っています。これまでに、病原性大腸菌O157や腸炎ビブリオ、レンサ球菌、ツツガムシ菌などのゲノム配列決定に共同研究として参画してきました。

職員

教授   安永 照雄
教授(兼)高木 達也
助教   後藤 直久
助教   中村 昇太
助教(兼)川下 理日人